「インハウス代理店」という言葉を調べてみると、説明している内容が記事によってまるで違う、と感じた方も多いのではないでしょうか。社内の広告部門を指していることもあれば、グループ会社の広告代理店を指していることも、インハウス化を手伝ってくれる代理店を指していることもあります。
インハウス代理店とは、一般には広告代理店が担ってきた機能を、広告主の側に取り込んだ組織や会社を指す言葉です。ただし実際には3つの異なる意味で使われています。本記事では、その3つの違いを整理したうえで、中心となる「インハウスエージェンシー」の仕組みと、自社に合う形の選び方を解説します。
記事のポイント
- 「インハウス代理店」が指す3つの意味と、それぞれの違い
- インハウスエージェンシー(社内代理店)の仕組みと組織の形
- 米国では広告主の8割以上が社内代理店を持つという調査結果
- インハウスエージェンシーのメリット・デメリット
- 自社がどの形を選ぶべきかの判断軸
目次
- インハウス代理店とは?3つの意味を比較
- インハウスエージェンシー(社内代理店)の仕組み
- インハウスエージェンシーが広がる背景
- インハウスエージェンシーのメリット・デメリット
- ハウスエージェンシー(系列代理店)との違い
- インハウス化を支援する代理店とは
- 自社に合う形の選び方|インハウスエージェンシーは必要か
- Dejamでインハウスの広告運用を支える
- よくある質問
- まとめ
インハウス代理店とは?3つの意味を比較
インハウス代理店(インハウスエージェンシー)とは、広告代理店が担ってきた企画・制作・メディア運用などの機能を、広告主の企業内部またはグループ内に持たせた組織のことです。外部の代理店に委託するのではなく、自社の管理下で広告業務を行う点が特徴です。
一方で、「インハウス代理店」「インハウス 広告代理店」という言葉は、次の3つの意味で使われています。
| 呼び方 | 何を指すか | 組織の位置 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| インハウスエージェンシー(社内代理店) | 広告主の社内に、代理店と同じ機能を持つ部門を置く形 | 社内の部門 | スピード・ノウハウ蓄積・ブランドの一貫性 |
| ハウスエージェンシー(系列代理店) | 広告主と資本関係にある、グループ内の広告会社 | 別法人(子会社・関連会社) | グループの広告業務の集約 |
| インハウス化を支援する代理店 | 広告主が自社で運用できるよう、研修や伴走で支援する外部の代理店 | 外部の会社 | 内製化の立ち上げと定着 |
本記事で主に扱うのは1つ目のインハウスエージェンシーです。2つ目と3つ目は、後半の章で違いを解説します。
なお、広告運用を自社で行うこと全般は「インハウス化」と呼ばれます。インハウス化の進め方やメリット・デメリットの全体像は「広告運用のインハウス化とは?メリット・デメリットと失敗しない進め方【2026年版】」で解説しています。
インハウスエージェンシー(社内代理店)の仕組み
インハウスエージェンシーは、単に「広告を社内で運用する担当者がいる」状態とは違います。社内の各事業部やブランドを「クライアント」とみなし、代理店のように依頼を受けて企画・制作・運用を提供する組織です。
担う機能
インハウスエージェンシーが担う機能は企業によって異なりますが、代表的なものは次のとおりです。
- クリエイティブ制作:広告バナー・動画・LP・販促物などの制作
- メディアプランニング・運用:運用型広告の配信設定・入札・予算配分
- データ分析・効果測定:媒体横断のレポート、施策の効果検証
- ブランド管理:表現やトーンの統一、素材の管理
すべてを社内で持つ企業もあれば、クリエイティブ制作だけを社内に置き、メディアの買い付けは外部の代理店に任せる企業もあります。
組織の形
成熟したインハウスエージェンシーは、外部の代理店と似た役割分担を持ちます。社内の依頼部門との窓口になる担当(代理店でいう営業・アカウント担当)、制作チーム、運用チーム、そして案件の優先順位と工数を管理する役割です。
依頼を受け付けるルールと、案件の優先順位を決める仕組みがないと、社内の声の大きい部署の依頼ばかりが優先され、組織が回らなくなります。外部の代理店であれば見積と契約で自然に整理されていた部分を、社内で設計し直す必要がある点が、インハウスエージェンシーの運営の難しさです。
インハウスエージェンシーが広がる背景
米国の全米広告主協会(ANA)が2008年から5年ごとに行っている調査では、会員企業のうちインハウスエージェンシーを持つ企業の割合は、2008年の42%から2023年には82%まで増えています。
| 調査年 | インハウスエージェンシーを持つ会員企業の割合 |
|---|---|
| 2008年 | 42% |
| 2013年 | 58% |
| 2018年 | 78% |
| 2023年 | 82% |
(出典: The Continued Rise of the In-House Agency: 2023 Edition|ANA)
ANAは、この割合は最終的に85〜90%程度で頭打ちになると予測しています。米国の大手広告主にとって、社内に代理店機能を持つことはすでに標準になりつつあります。
日本ではインハウスエージェンシーに限った同規模の調査は見当たりませんが、広告運用のインハウス化そのものは進んでいます。株式会社オプトの2025年8月の調査では、経営幹部の86%がインハウス化に着手していると回答しています(出典: インハウス化着手企業は86%!課題は「スキル不足」「人材確保」(株式会社オプト))。
背景には、次のような変化があります。
- 広告がデジタル中心になり、施策の量と速さが成果を左右するようになった:月に数本の制作では足りず、検証のために大量のクリエイティブが必要になった
- 自社データの重要性が高まった:顧客データを外部に渡さずに広告へ活用したいというニーズが強まった
- ツールが進化し、専門家でなくても扱える領域が増えた:広告運用の自動化やノーコードのLP制作ツールが普及した
インハウスエージェンシーのメリット・デメリット
メリット
- スピードが上がる:依頼から制作・公開までが社内で完結し、外部との調整にかかる時間がなくなる
- ブランドと事業の理解が深い:自社の商品・顧客・過去の施策を知っているメンバーが制作するため、説明のコストが小さい
- ノウハウとデータが社内に残る:制作物・検証結果・顧客データが自社の資産として蓄積される
- 案件が多いほど費用対効果が高まる:継続的に大量の制作・運用がある企業では、外注するより単価が下がりやすい
デメリット
- 固定費が大きい:制作・運用の人材を社内に抱えるため、案件が少ない時期にも人件費が発生する
- 視点が内向きになりやすい:社内の常識に縛られ、外部の代理店がもたらしていた新しい発想や他社事例が入りにくくなる
- 人材の採用と定着が難しい:クリエイターや運用者にとって、1社の案件だけを担当するキャリアは魅力が伝わりにくいことがある
- 社内の依頼が集中して回らなくなる:受付ルールと優先順位の仕組みがないと、制作待ちが慢性化する
ハウスエージェンシー(系列代理店)との違い
ハウスエージェンシーは、広告主の企業グループに属する広告会社です。親会社とは別の法人として存在し、グループ企業の広告業務を中心に請け負います。グループ外の企業の案件を受けることもあります。
| 比較項目 | インハウスエージェンシー | ハウスエージェンシー | 一般の広告代理店 |
|---|---|---|---|
| 組織の位置 | 広告主の社内部門 | グループ内の別法人 | 外部の独立した会社 |
| 費用の扱い | 社内の人件費・経費 | グループ内の取引 | 手数料・制作費 |
| 他社の案件 | 原則として扱わない | 扱うこともある | 多数の広告主を担当 |
| 事業理解 | 最も深い | 深い | 案件ごとに共有が必要 |
| 外部の知見 | 入りにくい | 一定程度入る | 多数の案件から得られる |
ハウスエージェンシーは、グループの広告業務を1社に集約することで、発注の窓口を一本化できる点が特徴です。一方、グループ内とはいえ別法人であるため、判断の速さやデータの扱いは、社内部門であるインハウスエージェンシーほど一体化はしません。
インハウス化を支援する代理店とは
「インハウス 代理店」で検索する方の中には、自社で広告を運用できるように支援してくれる代理店を探している方も多くいます。これがインハウス代理店の3つ目の意味です。
インハウス化を支援する代理店は、運用を代行するのではなく、広告主の担当者が自ら運用できるようになるための支援を行います。主な支援内容は次のとおりです。
- 社内担当者向けの研修・勉強会
- アカウント設計や計測環境の整備
- 運用の伴走(定例での相談、施策のレビュー)
- 代理店からの引き継ぎ支援
前述のオプトの調査では、インハウス化を進めている企業の約63%が外部のサポート会社を利用していると報告されています。インハウス化は外部の支援を断つことではなく、外部との関係を「作業の委託」から「相談と育成」に変えることと捉えるのが実態に近いといえます。
支援会社を選ぶときは、作業を代わりにやってくれるかではなく、支援が終わった後に社内で判断できる状態が残るかを確認しましょう。LeanGoでも、ツール・ノウハウ・人材育成を一体で支援する広告運用のインハウス化支援を提供しています。
代理店との契約を見直すかどうか自体の判断基準は「広告代理店をやめるべきか?広告運用インハウス化の判断基準と移行ステップ」で解説しています。
自社に合う形の選び方|インハウスエージェンシーは必要か
インハウスエージェンシーは、米国の大手広告主では一般的になりましたが、すべての企業に必要なわけではありません。次の目安で、自社に合う形を選びます。
| 自社の状況 | 合う形 |
|---|---|
| 複数の事業部・ブランドがあり、制作と運用の案件が年間を通して大量にある | インハウスエージェンシー |
| グループ会社が多く、広告の発注窓口を一本化したい | ハウスエージェンシー(すでにある場合は活用) |
| 広告運用を社内で回せるようになりたいが、まだノウハウがない | インハウス化を支援する代理店の伴走を受ける |
| 広告費が小さく、担当者が1〜2人 | 成果に近い業務だけを部分的に内製し、他は外部と併用 |
多くの中堅・中小企業にとって現実的なのは、最後の「部分的な内製」です。代理店の機能を丸ごと社内に作るのではなく、成果に近く、繰り返し発生する業務から社内に移すのが、失敗の少ない進め方です。どの業務から移すべきかは「マーケティングの内製化とは?どの業務から社内に移すか|領域別の判断基準と進め方【2026年版】」で、領域別に整理しています。
検索広告の運用から社内に移す場合の具体的な手順は「【2026年版】リスティング広告のインハウス化(内製化)手順|代理店からの引き継ぎと週次運用の実務」をご覧ください。
Dejamでインハウスの広告運用を支える
インハウスエージェンシーを作る場合も、部分的に内製する場合も、社内のチームが扱いやすいツールを揃えることが前提になります。CVR改善ツール「Dejam」の次の機能は、広告の成果を左右するクリック後の改善を社内で回すために使えます。
LP・記事LP制作
ノーコードでLPを作成・複製できます。広告のクリエイティブごとに遷移先を出し分ける作業を、制作会社に依頼せずに社内のチームだけで行えます。
ABテスト
LPの見出しや構成の違いを、コードを書かずに検証できます。インハウスエージェンシーで大量に制作したクリエイティブやLPのうち、どれが成果を出しているかを数字で判断できます。
広告ダッシュボード
複数の広告媒体のデータとLPの成果を1つの画面で確認できます。社内の依頼部門ごとにレポートを作る手間を減らし、制作と運用に時間を回せます。
プロジェクト管理
改善のタスク・スケジュール・企画書を一元管理し、誰がどの案件をどこまで進めたかを可視化できます。社内からの依頼が集中しがちなインハウスのチームで、案件の状況を共有するのに役立ちます。
よくある質問
Q. インハウス代理店とインハウス化の違いは何ですか?
A. インハウス化は、広告運用などの業務を自社で行うようにすること全般を指します。インハウス代理店(インハウスエージェンシー)は、そのうち代理店と同じ機能を持つ部門を社内に作り、社内の各部署を顧客として業務を提供する組織の形を指します。
Q. インハウスエージェンシーとハウスエージェンシーの違いは何ですか?
A. インハウスエージェンシーは広告主の社内部門、ハウスエージェンシーは広告主のグループに属する別法人の広告会社です。ハウスエージェンシーはグループ外の案件を扱うこともあります。
Q. インハウスエージェンシーを作るには、どのくらいの規模が必要ですか?
A. 決まった基準はありませんが、制作と運用の案件が年間を通して継続的に発生し、専任のメンバーを複数置けることが前提になります。案件が少ない企業では、固定費が負担になりやすいため、部分的な内製から始めるほうが現実的です。
Q. インハウス化を支援してくれる広告代理店は、どう選べばよいですか?
A. 運用を代行するかではなく、社内の担当者が判断できるようになるまで支援してくれるかを基準に選びます。研修の内容、伴走の期間、アカウントや計測環境の設計まで支援範囲に含まれるかを確認しましょう。
Q. 日本でもインハウスエージェンシーは増えていますか?
A. 日本でインハウスエージェンシーに限った大規模な調査は見当たりません。ただし、広告運用のインハウス化そのものは進んでおり、オプトの2025年の調査では経営幹部の86%がインハウス化に着手していると回答しています。
まとめ
インハウス代理店という言葉は、3つの異なる意味で使われています。
- インハウスエージェンシー:広告主の社内に、代理店と同じ機能を持つ部門を置く形。米国ではANA会員企業の82%が持つ(2023年)
- ハウスエージェンシー:広告主のグループに属する別法人の広告会社
- インハウス化を支援する代理店:広告主が自社で運用できるよう、研修や伴走で支援する外部の会社
インハウスエージェンシーは、案件が多い大企業では費用対効果とスピードの面で合理的ですが、固定費と人材確保の負担も大きくなります。多くの企業にとっては、成果に近い業務から部分的に内製し、外部の支援と組み合わせる形が現実的です。
まずは自社の広告業務のうち、どれを社内で持つと成果が最も変わるかを整理するところから始めてみてください。
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Dejamの主要機能
- LP/記事LP制作:ノーコード・コードの切り替えに対応。AIで生成したコードを直接取り込み可能
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