アンカリング効果とは、最初に見た数値が基準(アンカー)となり、その後の判断に影響する心理傾向です。料金表で高額プランを先に見せると、中位プランが割安に感じられるのはこの効果によるものです。
本記事ではアンカリング効果と、関連する**デコイ効果(おとり効果)**を、料金プランの設計という具体的な施策に落として解説します。
記事のポイント
- アンカリング効果とデコイ効果の違い
- 料金プランの並び順を変えた公開事例(全体注文14.9%増)
- ただし安価プランの購入率は低下するという内訳
- プラン数を3つにすると中央が選ばれる構造
- 二重価格表示で違反にならない条件
目次
- アンカリング効果とは
- デコイ効果(おとり効果)とは
- ①プランの並び順
- ②プラン数と中央の設計
- ③通常価格の併記
- ④価格以外へのアンカリング
- 越えてはいけない線
- Dejamでアンカリングを検証する
- よくある質問
- まとめ
アンカリング効果とは
アンカリング効果とは、最初に提示された数値が基準になり、その後の数値の評価がその基準に引き寄せられる現象です。 1970年代にエイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンが示した認知バイアスのひとつで、LPで使える認知バイアス18選でも最初に挙げられる代表的なものです。
重要なのは、アンカーは「比較対象が存在する」ときにしか働かないという点です。価格を単体で提示しても基準は生まれません。複数並べて初めて機能します。
| アンカーの置き方 | 例 |
|---|---|
| プランを並べる | プレミアム10万円 → スタンダード5万円(安く見える) |
| 通常価格を併記する | 通常60,000円 → 今なら45,000円 |
| 他社水準を示す | 一般的な外注費は月50万円〜 → 自社は月12万円 |
| 上限値を示す | 最大300ドメインまで無料(使う数は少なくても価値が伝わる) |
デコイ効果(おとり効果)とは
デコイ効果とは、選ばれることを目的としない選択肢を加えることで、本命の選択肢が選ばれやすくなる現象です。
典型は3プラン構成です。
| プラン | 内容 | 役割 |
|---|---|---|
| ライト | 機能を絞った最安 | 下限のアンカー |
| スタンダード | 必要機能を網羅 | 本命 |
| プレミアム | 高機能・高価格 | 上限のアンカー(デコイ) |
デコイは「劣った選択肢」ではなく「比較の基準」です。 プレミアムが存在することで、スタンダードが「必要十分で妥当」に見えます。
アンカリングとデコイの違いは次のとおりです。
| アンカリング効果 | デコイ効果 | |
|---|---|---|
| 働く仕組み | 数値の基準が移動する | 選択肢の相対評価が変わる |
| 最小構成 | 2つ並べれば働く | 3つ以上で働く |
| 狙い | 価格を安く見せる | 特定のプランを選ばせる |
①プランの並び順
並び順を変えるだけで、選ばれるプランが変わります。
公開事例では、通信サービスの料金ページで最高速・最高額のプラン(500Mbps)を最上位に移動した結果、次の結果が出ています。
| 指標 | Before → After |
|---|---|
| 500Mbpsプランの購入割合 | 5.35% → 7.19%(+34.4%) |
| 安価プラン(50/100Mbps)の購入率 | 25.3% → 22.75%(−10.6%) |
| 全体の注文数 | +14.9% |
信頼度は500Mbpsが99%、全体注文数が92%。サンプル11,300人以上、37日間。Greenhouse Group が T-Mobile Thuis 向けに実施した事例です(出典: 【ABテスト】最安価格を一番上、それとも一番下に掲載するか - DLPO)。
この事例の読み方は2段階です。
全体注文数は14.9%増えました。 高額プランを先に見せることで、全体として決断が増えています。
しかし安価プランの購入率は10.6%下がっています。 主力が安価プランのビジネスなら、この変更は失敗です。 全体CVRだけを見ていると、主力商品の販売が落ちていることに気づけません。
全体注文数の信頼度は92%で、一般的な基準の95%に達していません。 追試が必要な水準です。判定基準は「AAテストでABテストの有意性を見極める」を参照してください。
②プラン数と中央の設計
| 変更の型 | 仮説 |
|---|---|
| 2プラン → 3プラン(最上位を追加) | 従来の最上位が中央になり選ばれやすくなる |
| 3プラン → 4プラン | 選択肢が増えて迷いが生じる可能性もある |
| 本命プランに「おすすめ」ラベルを付ける | 迷いが減る |
| 本命プランのカードだけ大きく・枠線を付ける | 視覚的に中心が決まる |
プランを増やせば増やすほど良いわけではありません。 選択肢が多すぎると決定が遅れます。3プランを基本として、4つ目を足すかどうかはテストで確認してください。
③通常価格の併記
「通常60,000円 → 今なら45,000円」のような併記は、最も直接的なアンカリングです。
ただしこれは景品表示法上の二重価格表示であり、比較対照価格に販売実績の裏付けが必要です。 詳細は後述します。
| 実装 | 条件 |
|---|---|
| 通常価格に取り消し線を引く | その価格での販売実績が必要 |
| 「希望小売価格」と比較する | メーカー希望小売価格が実在すること |
| 「他社平均」と比較する | 調査の出典・時点・範囲を示せること |
| 自社の上位プランと比較する | 条件なし。最も安全な形 |
最も安全なのは「自社の上位プランをアンカーにする」方法です。 実在する自社プランとの比較なので、根拠の立証が不要です。
④価格以外へのアンカリング
アンカリングは価格以外にも働きます。
| 実装 | 仮説 |
|---|---|
| 「導入までの一般的な期間は3か月」を先に示す | 自社の2週間が速く見える |
| 「一般的な外注費は月50万円〜」を先に示す | 自社の料金が妥当に見える |
| 上限値を示す(最大300ドメインまで) | 余裕があると伝わる |
| 「改善に必要なテストは年50本」を先に示す | ツール導入の必要性が伝わる |
ただし比較対象として他社の数値を出す場合は、一次情報と調査時点が必要です。 競合比較の考え方は「競合LP分析の方法|調査すべき7つのポイントと改善施策への活かし方」も参照してください。
越えてはいけない線
アンカリング効果そのものは正当な設計です。 問題になるのは、アンカーが実在しない場合です。
| 正当な実装 | 規制される実装 |
|---|---|
| 販売実績のある通常価格を併記する | 販売実績のない価格に取り消し線を引く |
| 実在する自社上位プランと比較する | 提供実態のないプランを並べる |
| 出典つきの他社水準を示す | 根拠のない「他社平均」 |
| 期限が来たら通常価格に戻す | 常時セール価格で「通常価格」を掲示し続ける |
デコイとして置くプランも、実際に購入できなければなりません。 「選ばせないために置く」のは設計意図として問題ありませんが、注文を受け付けられない状態は不可です。
二重価格表示の具体的な条件は「有利誤認とは?二重価格表示・期間限定キャンペーンの落とし穴を事例で解説」、価格表示の検証手順は「価格表示のABテスト」を参照してください。類型の整理は「ダークパターン30選と改善案」にあります。
Dejamでアンカリングを検証する
ABテスト
デザイン変更テストで、プランの並び順・おすすめラベル・カードの大きさをノーコードで差し替えて検証できます。料金ページを丸ごと作り替える規模ならリダイレクトテストを使います。
ヒートマップ
クリックイベント計測で、どのプランのボタンが押されたかをプラン別に取れます。 本記事の公開事例のように「全体は増えたが安価プランは減った」という内訳は、プラン別のクリックを取らないと見えません。
自動解析
料金セクションがCVRに貢献しているかをAIが解析します。並び順を変える前に、そもそも料金表が読まれているかを確認できます。
よくある質問
Q. アンカリング効果とデコイ効果の違いは何ですか?
A. アンカリングは数値の基準が移動する効果、デコイは選択肢の相対評価が変わる効果です。アンカリングは2つ並べれば働き、デコイは3つ以上で働きます。狙いも「価格を安く見せる」と「特定のプランを選ばせる」で異なります。
Q. 料金プランは高い順に並べるべきですか?
A. 売りたいプランによります。 公開事例では高い順にして全体注文数が14.9%増えましたが、安価プランの購入率は10.6%低下しています。主力が安価プランなら逆効果です。
Q. プランは何個が最適ですか?
A. 3プランを基本にしてください。 中央が選ばれやすい構造を作れます。4つ目を足すかどうかは、迷いが増えるリスクがあるためテストで確認します。
Q. 「通常価格」を併記してもいいですか?
A. その価格での販売実績がある場合のみです。実績のない価格に取り消し線を引くと有利誤認に当たります。最も安全なのは自社の上位プランをアンカーにする方法で、根拠の立証が不要です。
Q. デコイとして置いたプランは売れなくてもいいですか?
A. 売れなくても構いませんが、購入できる状態でなければなりません。 注文を受け付けられないプランを並べるのは不可です。
まとめ
アンカリング効果とデコイ効果について、要点を整理します。
- アンカリング効果は最初に見た数値が基準になる現象
- 比較対象がないと働かない。 価格を単体で出しても基準は生まれない
- デコイ効果は3つ以上の選択肢で働き、中央が選ばれやすくなる
- 並び順を高い順に変えた公開事例で全体注文14.9%増
- ただし安価プランの購入率は10.6%低下。主力が安価プランなら失敗
- その事例の全体注文数の信頼度は92%で追試が必要な水準
- プランは3つを基本に。増やすと迷いが生じる
- 二重価格表示は販売実績の裏付けが必要
- 最も安全なアンカーは自社の上位プラン。 根拠の立証が不要
- デコイも実際に購入できる状態でなければならない
- プラン別のクリックを取らないと、内訳の変化が見えない
CVR改善ならDejam!プラン別の内訳まで見て価格の見せ方を決める
Dejamは、LP制作・ヒートマップ分析・ABテスト・AI自動解析をオールインワンで提供するCVR改善特化ツールです。「価格の見せ方が決まらない」という段階から、プラン別の内訳まで見て意思決定するまでを総合支援します。
Dejamが選ばれる理由
- ワンプロダクトで完結: LP制作・ヒートマップ分析・ABテストをすべて単一ツールで実施
- 月額3万円〜利用可能: オプティマイズプラン月額3万円〜 / CMSプラン月額5万円〜 / オールインワン月額12万円〜
- ユーザー課金なし: 何名で使っても追加費用は発生しない
- ISMS認証取得: ISO/IEC 27001:2022 & JIS Q 27001:2023認証取得済み
- 毎週アップデート: 市場トレンドとユーザーリクエストに応じて機能を毎週拡充
- 権威ある実績: 代表がダイレクトアジェンダで2連覇。LPO顕彰制度「LPO AWARD」主催者
Dejamの主要機能
- LP/記事LP制作: ノーコード・コードの切り替えに対応。AIで生成したコードを直接取り込み可能
- ヒートマップ: 5種類(クリック/クリックイベント/熟読/滞在/離脱)。データ保存期間無制限
- ABテスト: デザイン変更テスト・リダイレクトテスト・ポップアップテストの3種類。AIが自然言語でテストコードを自動生成
- 自動解析: どのコンテンツがCVRに貢献しているかAIが自動解析。ゴールデンルート機能でページ遷移の最適パスも特定
- プロジェクト管理: 改善施策の進捗をチームで共有できる
クリックイベント計測でプラン別のクリック数が取れるため、「全体は増えたが主力プランが減った」を見逃しません。 料金表の変更は全体CVRだけで判定すると危険です。


