「通常価格9,800円のところ、今だけ2,980円」——ECやD2CのLPで最も使われる価格訴求です。
この形式は二重価格表示と呼ばれ、そのすべてが問題になるわけではありません。しかし、比較対照価格として使える価格には条件があり、そこを外すと有利誤認にあたる可能性があります。
当社が消費者庁の公表資料から収集した処分事例150件のうち、有利誤認を含むものは25件でした。件数としては優良誤認より少ないものの、価格訴求はほぼすべてのLPが持つ要素であり、影響範囲は広い論点です。
本記事では、LPの価格まわりを設計する立場から、二重価格表示と期間限定キャンペーンの実務を整理します。
記事のポイント
- 有利誤認とは何か、優良誤認との違い
- 二重価格表示の比較対照価格に何を使えるか
- いわゆる8週間ルールの考え方
- 期間限定キャンペーンを繰り返すとなぜ問題になるか
- 価格訴求を弱めたときのCVR低下を実測する方法
目次
- 有利誤認とは
- 二重価格表示の基本
- 比較対照価格に使えるもの・使いにくいもの
- 期間限定キャンペーンの落とし穴
- 定期購入・サブスクの価格表示
- 公表データ25件から見える実態
- 価格訴求を弱める前に下げ幅を測る
- Dejamで価格訴求の検証を回す
- よくある質問
- まとめ
本記事は景品表示法の一般的な考え方を、消費者庁が公表している資料をもとに整理したものです。個別の表示が違反にあたるかどうかの判断は行っていません。 実際の表示の可否については、消費者庁の公表資料・ガイドラインを直接ご確認いただくか、弁護士等の専門家にご相談ください。
有利誤認とは
有利誤認とは、商品やサービスの価格その他の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示をいいます。景品表示法第5条第2号に位置づけられています。
対象になるのは価格だけではありません。送料、保証期間、返品条件、特典の内容、契約の解約条件なども取引条件に含まれます。LPの価格セクションだけでなく、フォーム直前の注記や決済ページの条件表示まで含めて確認する必要があります。
優良誤認との違い
| 類型 | 対象 | LPでの典型例 |
|---|---|---|
| 優良誤認(第5条第1号) | 品質・内容・効果 | 「1週間で-5kg」「肌が生まれ変わる」 |
| 有利誤認(第5条第2号) | 価格・取引条件 | 「通常9,800円→今だけ2,980円」「送料無料」 |
効果の訴求については「優良誤認とは?LPでやりがちなNG表現と措置命令の事例」で解説しています。
二重価格表示の基本
二重価格表示とは、実際の販売価格と、それより高い価格(比較対照価格)を並べて表示する手法です。「通常価格11,000円のところ、期間限定8,800円」といった形式が該当します。
二重価格表示そのものは禁止されていません。消費者にとって値引きの幅が分かりやすくなる有用な情報だからです。問題になるのは、比較対照価格に実態がない場合です。
消費者庁の価格表示ガイドラインでは、比較対照価格として表示できるのは、原則として**「最近相当期間にわたって販売されていた価格」**であるとされています(出典: 二重価格表示 | 消費者庁)。
いわゆる8週間ルール
「最近相当期間」の目安として実務で参照されるのが、セール開始前8週間のうち過半の期間、その価格で販売されていたかという考え方です。
| 観点 | 目安 |
|---|---|
| 対象期間 | セール前の8週間 |
| 販売実績 | その期間の過半で当該価格で販売していたか |
| 販売期間が8週間に満たない商品 | 販売開始からの期間で判断される |
| 最後に販売した時期 | 2週間以上前だと比較対照価格として使いにくい |
**これは条文に書かれた数値ではなく、ガイドライン上の目安です。**期間を満たしていれば必ず問題ないという性質のものではなく、実際の判断は表示全体から受ける印象を含めて行われます。
LP制作の実務としては、「通常価格」を表示するなら、その価格で実際に販売していた期間の記録を残しておくことが要点になります。過去の販売価格を証明できる状態にしておけば、後から根拠を求められたときに対応できます。
比較対照価格に使えるもの・使いにくいもの
| 比較対照価格の種類 | 実務上の扱い |
|---|---|
| 自社の過去の販売価格 | 販売実績があれば使える。実績の記録が必要 |
| メーカー希望小売価格 | メーカーが設定・公表しているものであれば使える |
| 「当社通常価格」 | 実際にその価格で販売していた実績が必要 |
| 「他社の販売価格との比較」 | 対象・時期・調査方法の明示が必要で、扱いが難しい |
| 販売実績のない「定価」 | 実態がなければ使えない |
最後の行が、LPで最も起こりやすいパターンです。新商品を最初からセール価格で売り出すときに、売ったことのない「通常価格」を並べるという形です。値引き幅を大きく見せたい動機は理解できますが、比較対照価格の実態がない状態になります。
期間限定キャンペーンの落とし穴
「期間限定」「本日限り」「先着100名」といった訴求は、今買うことが得だと消費者に思わせて購入を促す手法です。CVRへの寄与が大きいため、多くのLPが採用しています。
問題になりやすいのは、表示した期限の後も、同じ内容のキャンペーンを間断なく継続するケースです。実際には常時その価格で買えるにもかかわらず、限定であるかのように見せることになります。
パソコン通販サイトの二重価格と期間限定キャンペーンについて、有利誤認にあたるとして措置命令が出された事例もあります。
実務上の確認ポイント
- キャンペーンの終了後、同じ条件のキャンペーンをすぐに再開していないか
- カウントダウンタイマーが、ページを再訪するたびにリセットされていないか
- 「先着〇名」の表示に、実際の在庫や申込数との対応があるか
- 終了日を過ぎたLPが、同じ内容のまま配信され続けていないか
4つ目は運用の問題として起こりがちです。広告を止め忘れたLPが、期限切れの限定訴求を出し続けている状態は、複数のLPを並行運用しているほど発生しやすくなります。
定期購入・サブスクの価格表示
D2Cで多い定期購入型では、初回価格を大きく見せる訴求が一般的です。ここで確認したいのは、総額と解約条件が同じ視認性で読めるかです。
- 初回価格だけが大きく、2回目以降の価格が注記に埋もれていないか
- 継続回数の縛りがある場合、その条件が申込ボタンの手前で読めるか
- 「いつでも解約可能」と書きながら、実際には条件が付いていないか
これらは景品表示法だけでなく、特定商取引法の表示義務とも関わる領域です。LPのフォーム直前の情報設計は、法務確認の対象として最も密度の高い箇所だと考えたほうが安全です。
公表データ25件から見える実態
当社では、消費者庁が公表している措置命令・課徴金納付命令を収集し、景品表示法の処分事例データベースとして公開しています。2026年9月時点で2021年4月から2026年8月までの150件を収録しており、そのうち有利誤認を含むものが25件です。
| 類型 | 件数 |
|---|---|
| 優良誤認 | 62件 |
| 有利誤認 | 25件 |
| 指定告示(ステマ告示等) | 10件 |
※1件が複数の類型に該当する場合があります。当社が収集した範囲のデータであり、公表されたすべての処分を網羅したものではありません。
個別の事例は有利誤認の処分事例一覧から、出典となる消費者庁の公表資料へたどれます。公表資料には問題とされた価格表示の具体的な文言が記載されているため、自社の価格セクションと照らし合わせる材料になります。
価格訴求を弱める前に下げ幅を測る
価格訴求はCVRへの寄与が大きい要素です。「通常価格」の併記をやめる、限定訴求を外すといった変更は、CVRを下げる可能性があります。
だからこそ、変更前後をABテストで並走させ、下げ幅を実測する価値があります。
- 下げ幅が小さければ、リスクの低い表示に切り替える判断は容易です
- 下げ幅が大きければ、価格以外の訴求軸(返品保証、サポート、実績)で補う設計が必要だと分かります
検証は一度に1要素だけ変えるのが原則です。二重価格の表記と限定訴求を同時に外すと、どちらが効いていたのか分かりません。
価格セクションが実際にどこまで読まれているかはヒートマップ機能で確認できます。読まれていない注記を大きくしても体験は変わらないため、視認性の改善は実測してから判断するほうが確実です。
論点の全体像は「LP・記事LPの広告表現と景品表示法|4論点」にまとめています。
Dejamで価格訴求の検証を回す
ABテスト
二重価格の表記あり・なし、限定訴求あり・なしを並走させ、CVRの差を実測できます。デザイン変更テスト・リダイレクトテスト・ポップアップテストの3種類に対応しています。
LP・記事LP制作
価格表記や注記の差し替えを、コーディングなしで反映できます。キャンペーン終了時のLP差し替えも短時間で行えるため、期限切れ訴求の放置を防げます。
ヒートマップ
価格セクションと注記が実際にどこまで読まれているかを、熟読・滞在・離脱の各ヒートマップで可視化できます。
よくある質問
Q. 二重価格表示は禁止されているのですか?
A. 禁止されていません。問題になるのは比較対照価格に実態がない場合です。消費者庁のガイドラインでは、原則として最近相当期間にわたって販売されていた価格であることが求められています。
Q. 8週間ルールは法律で決まっているのですか?
A. 条文に定められた数値ではなく、ガイドライン上の目安として実務で参照されているものです。期間を満たしていれば必ず問題ないという性質のものではありません。
Q. 新商品を最初からセール価格で売る場合、通常価格は書けますか?
A. 販売実績のない価格を比較対照価格として使うことには問題があると考えられます。個別の判断は専門家にご相談ください。
Q. 期間限定キャンペーンを毎月やるのは問題ですか?
A. 表示した期限後も同一内容のキャンペーンを間断なく継続すると、実際より有利な条件で購入できるかのように誤認させるおそれがあると考えられています。内容や条件を実際に変えているかが確認のポイントになります。
Q. 価格訴求を弱めたらCVRが落ちました。
A. 下げ幅をABテストで実測したうえで、価格以外の訴求軸で補えないかを検討する順序をおすすめします。返品保証やサポート体制など、根拠を示せる情報が代替になることがあります。
まとめ
有利誤認について、LPの価格設計の目線で整理しました。
- 有利誤認は、価格や取引条件を実際より著しく有利に見せる表示
- 二重価格表示自体は禁止されておらず、比較対照価格の実態が要点
- 「最近相当期間」の目安として、セール前8週間の過半という考え方が参照される
- 期間限定は、期限後に同じ内容を継続すると問題になり得る
- 当社が収集した公表データ150件のうち25件が有利誤認を含む
効果訴求側の論点は「優良誤認とは?LPでやりがちなNG表現と措置命令の事例」、広告であることの表記については「ステマ規制とアフィリエイトのPR表記」をご覧ください。
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Dejamは、LP制作・ヒートマップ分析・ABテスト・AI自動解析をオールインワンで提供するCVR改善特化ツールです。「価格訴求を弱めたらCVRが落ちるのではないか」という段階から、実測して意思決定するところまでを支援します。
Dejamが選ばれる理由
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キャンペーンの切り替えとLPの差し替えを短時間で行えるため、期限切れの限定訴求が残り続ける運用リスクを減らせます。


