「LPのどこまで読まれているか、どのボタンが押されているかを知りたい」——GA4でも計測できますが、拡張計測機能の既定設定では粒度が粗すぎて、改善の判断には使えません。
本記事ではGTMでの実装手順を解説したうえで、この方法で何がわかり、何がわからないかを正直に整理します。
記事のポイント
- 拡張計測機能のスクロール計測が「90%到達の1回だけ」である理由
- GTMで10%刻みのスクロール計測を設定する手順
- 特定ボタンのクリックを計測する手順
- 計測したデータの読み方
- この方法では見えないもの
目次
- 拡張計測機能では足りない理由
- GTMで10%刻みのスクロールを計測する
- 特定ボタンのクリックを計測する
- 計測データの読み方
- この方法で見えないもの
- LPをどう直すか
- よくある質問
- まとめ
拡張計測機能では足りない理由
GA4の拡張計測機能には「スクロール数」と「離脱クリック」の項目がありますが、既定のままでは実用性が限られます。
| 項目 | 既定の挙動 | 問題 |
|---|---|---|
| スクロール数 | ページの90%到達時に1回だけ scroll が発火 | 「90%まで読んだか、そうでないか」の2値しか分からない |
| 離脱クリック | 外部ドメインへのリンクのみ | 自サイト内のボタンは対象外 |
つまり、「LPの60%あたりで離脱が集中している」も「料金表のボタンが押されている」も、既定では分かりません。 どちらもGTMでの追加実装が必要です。
拡張計測機能の全体像は「【2026年版】GA4のイベント設定完全ガイド|自動収集・拡張計測・カスタムイベントの使い分け」で解説しています。
GTMで10%刻みのスクロールを計測する
手順
- GTMの変数を有効にする
- 「変数」→「設定」→ 組み込み変数の「スクロール」カテゴリから
Scroll Depth ThresholdScroll Depth UnitsScroll Directionを有効化
- 「変数」→「設定」→ 組み込み変数の「スクロール」カテゴリから
- トリガーを作成する
- 「トリガー」→ 新規 →「スクロール距離」
- 「縦方向スクロール距離」にチェック
- 「割合」を選び、
10,20,30,40,50,60,70,80,90,100と入力 - 発火するページを条件で絞る(LPだけに限定するのが望ましい)
- タグを作成する
- 「Google アナリティクス: GA4 イベント」
- イベント名:
scroll_depth(拡張計測機能のscrollと衝突させない) - イベントパラメータに
percent_scrolled={{Scroll Depth Threshold}}を追加 - 手順2のトリガーを紐づける
- プレビューモードで発火を確認する
- 公開する
重要な注意点
拡張計測機能の「スクロール数」はオフにするか、イベント名を分けてください。 同じ scroll という名前で二重に送ると、データが混ざって読めなくなります。
また、対象ページを絞ってください。 サイト全体で10段階のスクロールイベントを発火させると、イベント数が大量に増えます。改善対象のLPだけに限定するのが現実的です。
パラメータをレポートで見るには登録が必要
percent_scrolled をレポートで使うには、カスタムディメンションへの登録が必要です。「管理」→「カスタム定義」→「カスタムディメンションを作成」で、イベントパラメータとして登録してください。
登録しないと、探索レポートで軸として選べません。登録前のデータは遡って見られないため、実装と同時に登録しておきます。
特定ボタンのクリックを計測する
手順
- 組み込み変数を有効にする
- 「変数」→「設定」→ クリックカテゴリの
Click ElementClick ClassesClick IDClick URLClick Textを有効化
- 「変数」→「設定」→ クリックカテゴリの
- トリガーを作成する
- 「トリガー」→ 新規 →「クリック - すべての要素」
- 「一部のクリック」を選び、条件を指定する
Click IDがcta-priceと等しい- または
Click Classesにbtn-primaryが含まれる - または
Click Elementが CSS セレクタ.cta-area aに一致
- タグを作成する
- イベント名:
click_cta - パラメータに
button_text={{Click Text}}などを追加すると、どのボタンかが分かる
- イベント名:
- プレビューモードで確認 → 公開
計測対象の指定はIDが最も安全
Click Classes での指定は、デザイン変更でクラス名が変わると計測が止まります。 気づかないうちにデータが欠落するため、可能なら計測用のIDを付けてもらうのが確実です。
コンバージョンとして扱う場合の注意
フォーム送信ボタンのクリックをコンバージョンにしないでください。 入力エラーで送信できなかった場合もカウントされ、数値が実態より多くなります。
送信完了時に dataLayer.push する実装を依頼するか、サンクスページ到達で計測してください。
計測データの読み方
スクロール率の読み方
探索レポートで、ディメンションに percent_scrolled、指標に「イベント数」を置きます。
| 見つかる状態 | 意味 |
|---|---|
| 30%→40%で大きく落ちる | その位置の直前で離脱している。何かが引っかかっている |
| 90%まで届く人が極端に少ない | ページが長すぎるか、途中で満足している |
| 90%到達者のCVRが高い | 最後まで読ませることに価値がある。上部に要点を移す判断も |
落差が大きい位置の「直前にある要素」が改善対象です。
クリックの読み方
CTAのクリック数とCV数を比べます。
- クリックはされているがCVしていない → CTAの先(フォーム・遷移先)に問題がある
- そもそもクリックされていない → CTAの位置・文言・視認性に問題がある
前者ならフォームを、後者ならファーストビューを直す、という切り分けになります。
この方法で見えないもの
正直に整理します。GTMでここまで実装しても、次のことは分かりません。
1. どこで止まったかの正確な位置
10%刻みは「粗い目安」です。 「料金表の直前で止まっている」「導入事例の2件目で離脱している」といった要素単位の粒度は得られません。ページの長さによっては、10%が数百ピクセルに相当します。
2. リンクではない要素へのクリック
ユーザーがクリックしたが何も起きなかった箇所は、トリガーの条件に該当しないため計測されません。画像やアイコンがボタンだと誤認されているケースは頻繁にありますが、この方法では永久に発見できません。
3. どのコンテンツがCVに貢献したか
CVした人としなかった人で、LP内のどのブロックの閲覧率が違ったか——これを出すには、ブロック単位の表示計測をすべて実装する必要があります。 現実的な工数ではありません。
4. 実装コストと保守コスト
計測したい箇所が増えるほど、トリガーとタグが増えます。デザイン変更のたびにセレクタの見直しが必要になり、保守が続きます。
LPをどう直すか
計測でスクロールの落差やクリックの有無が分かったら、次の順で直します。
- 落差が大きい位置の直前の要素を確認する — 長すぎる説明文、専門用語、唐突な価格提示など
- CTAがクリックされていないなら、位置と文言を変える — ファーストビュー内にあるか、「送信」より具体的な文言か
- クリックはあるがCVしていないなら、その先を直す — フォームの項目数、遷移先の内容
- ABテストで検証する — 変更前後の期間比較では外部要因を分離できません
手順の全体像は「【2026年版】GA4でCVRを改善する方法|キーイベント レートの見方から具体的な打ち手まで解説」で解説しています。GA4とヒートマップの役割分担は「【2026年版】GA4とヒートマップの併用方法|数値で絞り込み、行動で原因を特定する手順」にまとめています。
よくある質問
Q. 拡張計測機能のスクロールだけでは足りませんか?
A. 足りません。既定ではページの90%到達時に1回だけ発火するため、「90%まで読んだか、そうでないか」の2値しか分かりません。10%刻みで見るにはGTMでの追加実装が必要です。
Q. 拡張計測機能とGTMの両方でスクロールを計測してもいいですか?
A. イベント名を必ず分けてください。 同じ scroll で二重に送るとデータが混ざります。GTM側は scroll_depth などの別名にするか、拡張計測機能側をオフにしてください。
Q. パラメータがレポートに出てきません。
A. カスタムディメンションへの登録が必要です。「管理」→「カスタム定義」から登録してください。登録前のデータは遡って見られないため、実装と同時に登録することをおすすめします。
Q. クリックの計測対象はどう指定すべきですか?
A. IDでの指定がもっとも安全です。 クラス名での指定は、デザイン変更でクラスが変わると気づかないうちに計測が止まります。可能なら計測用のIDを付けてもらってください。
Q. フォームの送信ボタンのクリックをコンバージョンにしていいですか?
A. 避けてください。入力エラーで送信できなかった場合もカウントされ、数値が実態より多くなります。 送信完了時のイベントか、サンクスページ到達で計測してください。
Q. すべてのボタンのクリックを計測すべきですか?
A. 計測箇所が増えるほど実装と保守の工数が増え、デザイン変更のたびにセレクタの見直しが必要になります。「見て次に何をするか決められるか」で対象を絞ってください。
まとめ
GA4でのクリック・スクロール計測について、要点を整理します。
- 拡張計測機能のスクロールは90%到達時の1回だけ。 既定のままでは改善判断に使えない
- 10%刻みで取るにはGTMで「スクロール距離」トリガーを設定する
- 拡張計測機能とイベント名を分ける。 同名だとデータが混ざる
- 対象ページを絞る。サイト全体だとイベント数が大量に増える
- パラメータはカスタムディメンションに登録しないとレポートで使えない。 遡及もしない
- クリックの計測対象はIDでの指定が安全。クラス名は変更で壊れる
- フォーム送信ボタンのクリックをCVにしない(エラー時も計上される)
- この方法では「リンクでない要素へのクリック」は永久に発見できない
- 10%刻みは粗い目安。要素単位の粒度が要るならヒートマップの領域
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