「サードパーティCookieが廃止されるので対策が必要」——数年にわたって語られてきたこの前提は、現在は正確ではありません。
Googleは Chrome でのサードパーティCookie廃止を事実上撤回しました。 2025年10月には、代替技術として開発されていた Privacy Sandbox の大半も終了しています。
では対策は不要になったのか——そうではありません。 本記事では2026年時点の実態を整理し、それでも計測の欠落が続く理由と、何をすべきかを解説します。
記事のポイント
- サードパーティCookie廃止が撤回された経緯
- Chrome・Safari・Firefox で状況がまったく違う
- Privacy Sandbox が終了したことの意味
- 撤回されても計測の欠落が続く理由
- 今やるべきこと・やらなくてよくなったこと
目次
- 結論: 廃止は撤回された
- ここまでの経緯
- ブラウザごとに状況がまったく違う
- Privacy Sandboxの終了
- それでも計測の欠落は続いている
- 今やるべきこと
- やらなくてよくなったこと
- よくある質問
- まとめ
結論: 廃止は撤回された
2026年現在、Chrome ではサードパーティCookieが既定で許可されています。
Googleはサードパーティ Cookie の廃止に向けた一連の取り組みを事実上すべて取り下げ、ユーザーが必要に応じて設定から制御する形が維持されています(シークレットモードでは従来どおり既定でブロックされます)。
「2024年に廃止される」「2025年に廃止される」と書かれた記事は、すべて情報が古くなっています。 廃止予定は複数回延期され、最終的に方針そのものが転換されました。
ここまでの経緯
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2020年 | Googleが Chrome でのサードパーティCookie廃止を表明 |
| 2021〜2023年 | 廃止時期が繰り返し延期される |
| 2024年 | 「廃止」ではなくユーザーが選択する方式へ方針転換を発表 |
| 2025年 | 選択方式の導入も見送られ、既定で許可される状態が継続 |
| 2025年10月 | Privacy Sandbox 関連技術の大半を廃止すると公表 |
廃止を前提に設計された代替技術のほうが先に終わった、というのが現在の状況です。
なぜ撤回されたのか
背景には、広告業界からの反発、競争法上の懸念、そして代替技術が期待された性能を発揮できなかったことがあると報じられています。
重要なのは、この経緯が「Cookie規制が終わった」ことを意味しないという点です。次章で説明します。
ブラウザごとに状況がまったく違う
ここを一括りにすると判断を誤ります。
| ブラウザ | サードパーティCookie | ファーストパーティCookieへの制限 |
|---|---|---|
| Chrome | 既定で許可(シークレットモードは除く) | 特段の制限なし |
| Safari | 既定でブロック(継続) | ITPで保持期間を制限(継続) |
| Firefox | 既定でブロック(継続) | トラッキング防止機能あり |
| Edge | 設定により変動 | 追跡防止機能あり |
Safari と Firefox のブロックは撤回されていません。 そして規制当局の要請も変わっていません。
日本では Safari の影響が大きい
日本はスマートフォンにおける iOS のシェアが高く、Safari 経由のトラフィックが多いという特徴があります。
Chrome が許可に転じても、Safari からの流入が半分を占めるサイトでは、計測の欠落は変わらず発生します。 「Chromeが撤回したから対策不要」と判断すると、その半分を見誤ります。
自社のブラウザ別トラフィック構成を確認してから判断してください。 GA4の「ユーザー属性」またはデバイス別レポートで確認できます。
Privacy Sandboxの終了
Privacy Sandbox は、サードパーティCookieの代替としてGoogleが開発していた技術群です。Topics API、Protected Audience API などが含まれていました。
2025年10月、この大半を廃止すると公表されました。
実務上の意味
- Privacy Sandbox への対応を検討していたなら、その工数は不要になりました
- 代替技術の導入を前提にしたベンダーの提案は、前提が崩れています
- ファーストパーティデータを活用する方向性は変わりません(後述)
「Privacy Sandbox 対応」を謳うツールの提案を受けている場合、現在の状況を確認してください。
それでも計測の欠落は続いている
ここが本記事でもっとも重要な点です。
サードパーティCookieの廃止が撤回されても、広告の計測が抜ける問題は解決していません。 理由は4つあります。
1. Safari の ITP は継続している
ITP(Intelligent Tracking Prevention)は、サイト自身が発行するファーストパーティCookieの保持期間も制限します。
サードパーティCookieの話とは別問題で、こちらは何も変わっていません。 検討期間が長い商材では、初回訪問から成約までの間にCookieが消え、広告の成果として計測されなくなります。
ITPの詳細は「【2026年版】ITPとは?Safariのトラッキング防止機能が広告計測に与える影響と対策」で解説しています。
2. 広告ブロッカーは計測タグ自体を止める
Cookieの可否とは無関係です。 ブラウザ上のタグである限り、読み込みをブロックされれば計測できません。
3. iOSのATTによるアプリ内トラッキング制限
SNSアプリ経由の流入で影響が出ます。これも継続しています。
4. アプリ内ブラウザがリファラを渡さない
LINEやInstagramのアプリ内ブラウザは、プライバシー保護のため参照元情報を渡さないことがあります。結果として (direct) / (none) に分類されます。詳細は「【2026年版】GA4の流入元・参照元の見方|(direct)/(none)が増える11の原因と減らす方法」で解説しています。
つまり「サードパーティCookieが使えるかどうか」は、計測欠落の一因にすぎませんでした。 撤回されても、他の3つは残っています。
今やるべきこと
方針は変わっていません。 ファーストパーティデータを軸にした計測を整えることです。
優先度順
| 優先度 | やること | 費用 |
|---|---|---|
| 1 | UTMパラメータの整備 | ゼロ |
| 2 | Google広告の拡張コンバージョン | ゼロ |
| 3 | 自社のブラウザ別トラフィック構成の把握 | ゼロ |
| 4 | Meta CAPI(パートナー連携で済むか確認) | 実装工数 |
| 5 | サーバーサイドGTM | サーバー費用+運用体制 |
1と2は費用がかかりません。 ここを済ませないままCAPIやサーバーサイドGTMを検討している企業が多く見られます。
全体像と着手順は「【2026年版】Cookieless時代の広告計測とは?対策の全体像と着手する順番を解説」にまとめています。
そして、計測より先に確認すべきこと
計測対策は「取りこぼした成果を拾う」施策であって、成果そのものを増やす施策ではありません。
CVRが業界平均より明らかに低い状態でCAPIを導入しても、低いCVRが正確に測れるようになるだけです。
まずGA4でランディングページ別・流入元別にCVRを分解し、改善余地がどれだけ残っているかを確認してください。手順は「【2026年版】GA4でCVRを改善する方法|キーイベント レートの見方から具体的な打ち手まで解説」で解説しています。
やらなくてよくなったこと
撤回によって、優先度が下がったものもあります。
| 項目 | 現在の位置づけ |
|---|---|
| Privacy Sandbox への対応 | 不要(技術の大半が終了) |
| Chrome のサードパーティCookie廃止に備えた駆け込み対応 | 不要 |
| 「2025年までに」という期限を前提にした計画 | 前提が崩れている。見直す |
期限を理由に進めていた施策があるなら、優先度を組み直してください。 一方で、Safari 対策としてのファーストパーティ計測の整備は、引き続き有効です。
よくある質問
Q. サードパーティCookieは廃止されたのですか?
A. Chrome では廃止されていません。 Googleは廃止方針を事実上撤回し、2026年現在も既定で許可されています。ただし Safari と Firefox のブロックは継続しています。
Q. では対策は不要になったのですか?
A. 不要ではありません。 計測が抜ける原因はサードパーティCookieだけではなく、SafariのITP・広告ブロッカー・iOSのATT・アプリ内ブラウザのリファラ欠落が残っています。これらは何も変わっていません。
Q. Privacy Sandbox への対応は必要ですか?
A. 不要です。 2025年10月に関連技術の大半を廃止すると公表されており、プロジェクトは事実上終了しています。Privacy Sandbox 対応を前提としたベンダー提案を受けている場合、現状を確認してください。
Q. 自社にどれだけ影響があるかを知る方法は?
A. GA4でブラウザ別のトラフィック構成を確認してください。 Safari の比率が高いサイトでは、Chromeの撤回に関係なく計測の欠落が発生します。日本はiOSのシェアが高いため、Safari比率が過半になるサイトも珍しくありません。
Q. 「2024年に廃止」と書かれた記事を読みました。
A. 情報が古いです。 廃止予定は繰り返し延期され、最終的に方針そのものが転換されました。Cookie関連の情報は変化が速いため、記事の日付と一次情報を確認してください。
Q. 何から手をつけるべきですか?
A. 費用ゼロでできることからです。 ①UTMパラメータの整備、②Google広告の拡張コンバージョン、③自社のブラウザ別構成の把握。この3つを済ませてから、CAPIやサーバーサイドGTMを検討してください。
まとめ
サードパーティCookieの現状について、要点を整理します。
- Chrome での廃止は事実上撤回された。 2026年現在も既定で許可されている
- 2025年10月、Privacy Sandbox の大半も終了。代替技術のほうが先に終わった
- Safari と Firefox のブロックは継続。 一括りにしてはいけない
- 日本はSafari比率が高く、Chromeの撤回だけでは判断できない
- 撤回されても計測の欠落は続く。 ITP・広告ブロッカー・ATT・アプリ内ブラウザが残っている
- サードパーティCookieは、計測欠落の一因にすぎなかった
- やるべきことの方針は変わらない。費用ゼロのUTM整備と拡張コンバージョンから
- Privacy Sandbox 対応の工数は不要になった
- 「2025年までに」を前提にした計画は組み直す
- 計測対策より先に、CVRの改善余地を確認する
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