契約や表現の制限が多いインフルエンサー施策において、いかに本質的なUI/UX改善を図るか。株式会社コラントが実践した、ブランドイメージを損なわず顧客体験を最適化させるための、LPOの在り方に迫ります。
目次
貴社の事業内容とご担務についてお聞かせください。
弊社は、カー用品、食品、ペットフードといった多岐にわたるジャンルにおいて、製品の企画・製造から卸売、そして自社ECサイトの運営までを一気通貫で手がけています。
私は企画部長として、新製品のプロデュース全般を統括しています。具体的には、市場の潜在ニーズを掘り起こす製品企画をはじめ、EC・SNS戦略、さらには数百万規模のフォロワーを持つ著名インフルエンサーの方々とのタイアップ施策など、Webマーケティング領域の全般を担っています。
特に食品事業においては、インフルエンサーの熱狂的なファンたちを、いかにECサイト上の「購買体験」へと繋げ、CVRを最大化させるかという、スピード感と精度の求められる領域に注力しています。
今回販売された商品について教えてください。
今回、改善のメインプロダクトとしたのは、SNSで絶大な影響力を持つインフルエンサーの方と共同開発した「おせち料理」です。
この商品は、従来のおせちのイメージを覆す「お正月の定番にとらわれない」「本当に美味しい料理を詰め込む」という明確なコンセプトを掲げており、毎年予約開始と同時に非常に高い注目をいただく、弊社のEC事業における最注力製品です。
おせちという商品の性質上、販売期間が非常に限定的であり、かつ年末という一年に一度の特別なイベントに向けたお買い物であるため、LPには「一目で伝わる圧倒的なシズル感」と「迷わせないスムーズな購入動線」の両立が求められます。
短期間に集中する膨大なトラフィックを確実に取りこぼさず、いかに高いCVRを維持し続けられるか。そのための戦略的なクリエイティブとLPOの検証が、今回のプロジェクトの鍵となりました。
LPO実施に至った背景について教えてください。
既存のマーケティング施策だけでは、売上の成長が鈍化していると感じていたことが最大の理由です。
これまでSNS広告やインフルエンサータイアップによる集客には注力しており、アクセス数自体は順調に伸ばすことができていました。しかし、いくら「蛇口」を広げて集客を増やしても、肝心の出口であるLPで離脱が起きてしまっては、投下した広告費が最大化されません。
まさに「バケツの穴」が開いているような状態で、集客単価が上がっていく一方でCVRが改善せず、売上の伸びが頭打ちになっていたことが課題でした。
この状況を打破するためには、集客に頼るのではなく、今来ているお客様をいかに確実にお申し込みへ繋げるか、つまり「LPそのものの接客力」を高める必要があると考え、本格的なLPOの実施に至りました。
LPOの実施を検討されなかった背景には、どのようなことがございましたか。
正直なところ、最初の数年間は、Web広告の運用やインフルエンサータイアップを本格化させるだけで、目に見えて順調に売上が拡大していました。
当時は「いかに認知を広げ、サイトへ集客するか」という流入施策に注力しており、そこを強化するだけで期待以上の成果が得られていたため、LPのLPOを優先する発想には至っていませんでした。
いわば「攻めの集客」だけで成長し続けていた時期であり、現状のクリエイティブでも十分に通用しているという手応えがあったため、あえてコストや工数をかけてまでサイト内の細かな検証を行う必要性を感じていなかった、というのが本音です。
実際に実施してみていかがでしょうか。
正直に言えば、指摘された改善点は「言われてみればすごくシンプルで簡単なこと」も多かったのですが、実際に修正して数値を計測してみると、「たったこれだけの調整で、ここまでCVRが変わるのか!」という劇的な変化が見られました。
私たちは何年もこのコンテンツを運用し、毎年好調な結果を残してきました。そのため、どこか「今の形が完成形だ」と思い込んでいた部分があったのかもしれません。しかし今回の取り組みを通じて、たとえ長年好調を維持しているページであっても、ユーザー視点で見直せばまだまだ改善の余地は無数にあるのだと痛感しました。
「これ以上は変わらないだろう」という思い込みを捨て、データに基づいた細かな違和感を一つずつ解消していくことの重要性と、LPOが持つ圧倒的なインパクトを改めて実感しています。
▼実際に実施した施策はこちら


インフルエンサーを活用したマーケティング施策は制限が多いと聞きます。LP上の施策でも制限はありましたか。
おっしゃる通り、契約上の細かなレギュレーションや権利関係の制限は多々あり、その調整には非常に大きなパワーを要します。しかし、私たちがそれ以上に重要視しているのは「インフルエンサーの方との信頼関係」と「ブランディングの保護」です。
タイアップにおいて、プロダクトにはご本人のこだわりやご要望が細部まで反映されています。LPという表現の場においても、単に「売るための構成」を優先するのではなく、ご本人が大切にされている世界観やイメージ、ファンとの信頼関係を絶対に損なわない表現にすることを最優先に心がけています。
「売上」を追うLPOと、インフルエンサーとしての「ブランド価値」を守ること。この二つは時に相反するように見えますが、ご本人の魅力を最大限に引き出すクリエイティブこそが、結果としてファンの方々に最も響き、最大の成果に繋がると信じています。制限を「制約」と捉えるのではなく、その個性をどう正しくマーケットに届けるかという視点を常に持つようにしています。
今後、インフルエンサーマーケティングやLPOに関して、新たに挑戦したいことや、注力していきたいことはありますか?
今回のプロジェクトを通じて、食品事業における「インフルエンサータイアップ×LPO」という勝ち筋には確信を得ることができました。今後はこの成功体験を一つの強力なモデルケースとして、弊社が展開しているカー用品やペットフード、ゴルフといった他事業の領域にも積極的に横展開していきたいと考えています。
特に注力したいのは、自社プライベートブランド商品の拡販です。これまでは「集客」の力に頼る部分が大きかったのですが、今回の取り組みで「LP内の接客力を高めれば、これほどまでに利益率や成約率が変わる」ということを身をもって実感しました。
今後、新たなPB商品をリリースする際にも、最初からLPOの視点を組み込み、データに基づいた改善サイクルを高速で回していく。そうすることで、各ジャンルにおいてお客様から長く愛される「強いブランド」を、再現性を持って育てていきたいと考えております。
