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【2万字対談】AIが自動化する広告運用、代理店の生存戦略とは。 電通デジタル×オプトが語る「CVR改善」という勝ち筋

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株式会社電通デジタル、株式会社オプト、株式会社LeanGo

株式会社電通デジタル 福島氏・薫森氏(アドバンストクリエイティブセンター) / 株式会社オプト 曵地氏・大谷氏(クリエイティブ本部 CRO戦略部) / 株式会社LeanGo 平井氏(代表取締役・モデレーター)・岡坂氏(執行役員)

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目次

自己紹介と各社の「武器」について

LeanGo 平井:

本日はよろしくお願いします。今回は、LPOやCROに本気で取り組んでいる代理店さんが、事業会社から圧倒的に選ばれるような未来を作るための記事にしたいと思っています。

業界の常識が変わるくらいの、起爆剤になる対談にしたいですね。

まずは、各社の自己紹介と、今注力しているソリューションについて教えてください。

電通デジタル 福島:

電通デジタルの福島です。同席している薫森と共に、アドバンストクリエイティブセンターという部門に所属しています。その中で私たちが所属するのは広告クリエイティブの制作から、LPやサイト制作・解析・改善までを扱うチームです。

現在、私たちが注力しているのが「∞AI LP」というソリューションです。AIを活用してLPの課題把握や効果最大化につながる施策検討、また予測を行うことなどを通じたLPのPDCAに取り組んでいます。

オプト 曵地:

株式会社オプトの曵地です。私たちが所属するクリエイティブ本部は、広告運用やクリエイティブ制作の枠を超え、マーケティングの下流における様々なユーザー接点の体験マネジメント、つまりLTVの観点から企業のマーケティングを加速させる支援を行っています。

昨今、インハウス化の需要も高まりを受け、顧客企業のマーケティング活動を自走化できる体制構築にも注力しています。私と大谷は、そのなかでもCVR改善を専門とする「CRO戦略部」で、日々あらゆる接点の最適化に邁進しています。

支援にあたって、LeanGo社のCVR改善ツール「Dejam」を積極的に活用させていただきつつ、自社独自のアセットとして「shioume AI」をLeanGo社と共同で開発しました。

LPOの手法自体は20年近く大きな変化がありませんでしたが、AI導入することで圧倒的なスピード感を実現したいと考えたのです。私たちが目指すのは、AIにすべて委ねるのではなく、「人の知見」と「AIの技術」を最適なバランス――まさに“いい塩梅(あんばい)”で掛け合わせた、私たちにしかできないスキームを展開しています。


なぜ今、大手代理店が「LPO・CRO」に本気なのか?

LeanGo 平井:

LPOやCROの支援は、いつ頃から開始されているのでしょうか?

電通デジタル 薫森:

電通デジタルとしては、2018年にCROの組織を立ち上げました。もう7年になりますね。私と福島は立ち上げ当初からのメンバーです。

オプト 曵地:

オプトとして、実は以前からLPOやCROに関するアセット(知見や資産)自体は保有していました。ただ、ダイレクト広告領域において、明確に「CVR改善」に特化した専門組織としてアクセルを踏み始めたのは、今から5〜6年前ほど前ですね。

LeanGo 平井:

率直にお聞きしたいのですが、LPOは分析、改善案作成、デザイン、コーディング、効果検証と業務フローが多く、代理店としては敬遠されがちな領域だと思います。「言われたらやるけど、自分たちからは手を出したくない」という代理店も多い中で、なぜ皆さんはこれほど注力できているのでしょうか?

電通デジタル 薫森:

結局のところ、クライアントの課題は「どうやって売上を上げるか」「どう事業をスケールさせるか」に尽きるからです。

そのKGIに対するKPIは、やはりCV数やCVRになります。広告で集客するだけでは片手落ちで、その先の課題を解決できる体制を整えることが、クライアントへの最大の還元になります。「大変だから触りたくない」という気持ちはわかりますが、そこを置いてでも「やるべきだからやっている」というのが正直なところです。

電通デジタル 福島:

補足すると、電通デジタルの場合はリソースの問題もクリアしています。広告運用チームとは別に、LPやサイトで効果を上げていく専門チームが組織化されているため、それぞれの専門家としてしっかり取り組める環境があるのも大きいです。

オプト 曵地:

私たちも、電通デジタルさんが掲げている思想に近さを感じます。なぜ今、私たちがこれほどCROに力を入れているのか、その背景にあるのは「市場環境の変化」が大きいですね。ここ5年で、広告運用フローはAIにより劇的に進化し、入札調整といった従来の運用業務はほぼ自動化されるなど、人間が手動で差別化できる余地が少なくなっています。

このような状況下で、マーケティング効果を最大化させるため、人間がコントロールできるレバーや成果を伸ばせるポイントは、今や「クリエイティブ」に集約されています。

特に、広告をクリックした後の「遷移先(LP)」における体験設計は、まだAIが完全には解明しきれない、人間特有の経験や感覚が求められる領域です。だからこそ、顧客企業からの需要も非常に高く、私たちが直接手を加える価値が相対的に高まっていると考えています。


LPO・CROはWebマーケティングの「総合格闘技」である

LeanGo 平井:

電通デジタルさんは「体力があるからできる」という側面もあると思いますが、オプトさんはいかがですか? 他の代理店が真似できない理由があるのでしょうか。

オプト 曵地:

そうですね。この領域は各社とも重要性は理解しつつも、「腰が重くなりがち」な領域であるのは間違いありません。

なぜなら、LPOはページの一部を修正するだけのように簡単な施策に見えます。しかし、本質的に成果を出そうとするとWebマーケティングにおける「総合格闘技」と言えるくらい難易度が高いんです。

電通デジタル 福島:

「総合格闘技」、いい表現ですね(笑)。

オプト 曵地:

まず、どんなユーザーが来ているかを捉えるために「広告運用・アカウント設計」の知識が必要です。次に、ユーザーとの「コミュニケーション設計」や「マーケティング・バナー制作」の知識。さらに、使いやすさを担保する「UI/UX」の視点も欠かせません。

また、ツールを導入するための「タグ・Cookie・ドメイン」といったテクニカルな知識も必須です。最近ではLTV向上のために「CRM」の知見や、データ計測のスキルも求められます。

これら全てを高いレベルで網羅できる人材は、市場を見渡してもそうそういません。

例えば、リダイレクト時に計測タグが外れていないか? Cookie規制のなかでどう計測するか?など、細部の知識がないと、せっかくの施策も台無しになります。

これだけ幅広いスキルを持った人材は市場に少ない。だからこそ、そこがエアポケットになっていて、私たちが埋めるべき価値があると考えています。

電通デジタル 薫森:

確かに、めちゃくちゃ難しいですよね。

一人ですべてをこなすのは不可能に近いので、チームを組み、パートナー企業とも連携しながら、それぞれの専門性を持ち寄って助け合いながら進めていく施策だと感じています。

LeanGo 平井:

お二方の話を聞いていて、他社との明確な違いを感じました。

多くの代理店は「CPA目標を達成しましょう」という会話が主になりがちです。しかし皆さんは、「お客様が成し遂げたい事業目標(売上など)」が最上段にあり、そこから逆算して「広告もLPOもCRMも必要だよね」という構造になっている。

この視座の高さこそが、事業会社から選ばれる理由であり、単なる「広告代理店」から脱却できるかどうかの分かれ目なんだと思いました。

電通デジタル 薫森:

おっしゃる通りです。そこまで踏み込まないと、ただの「枠売りの代理店」で終わってしまいます。

私たちは「クライアントの事業成長パートナー」へとトランスフォーメーションしていく必要がある。その意識変革が重要だと痛感しています。


地道な「社内調整」と「プッシュ提案」の道筋

LeanGo 平井:

今でこそ専門部署があり、社内外から相談が来る状態だと思いますが、立ち上げ当初はどうだったのでしょうか? ノウハウやリソースがない中で、どうやって組織を確立させたのですか?

電通デジタル 薫森:

元々のきっかけは、私がいたSEO部署での課題感でした。

検索順位を上げて集客しても、それだけではお客様の課題をすべて解決できない。「集客からコンバージョンまでワンストップでやらないと意味がない」という危機感から、組織を立ち上げました。

欧米では2013年頃から「CRO(コンバージョンレート最適化)」という言葉が当たり前に使われていたので、日本でも必ず必要になると確信していました。

LeanGo 平井:

社内への浸透はスムーズでしたか?

電通デジタル 薫森:

いえ、かなり泥臭いことをやりましたよ(笑)。

社内の各部署を回って説明したり、電通グループ各社を行脚したり。社外向けにもセミナーやイベントを開催して、とにかく認知を広める活動を愚直に続けました。

電通デジタル 福島:

「LPOツールとは何か」「ABテストとは何か」という基礎的なインプットから始めました。ずっと同じことを言っていても浸透しないので、最新の事例を取り込んで共有し続けました。

その結果、「CPAが高止まりして困っている」といった時に、自然と我々に相談が来る状況を作ることができました。ブレイクスルーがあったというよりは、本当にコンスタントな発信の積み重ねですね。

オプト 曵地:

私たちも全く同じスピリッツです。「やらなきゃいけない」という使命感から始まりました。

私は元々ダイレクトクリエイティブ(バナーなど)の制作をしていましたが、バナーを2,000本つくって回しても、ある一定のラインからCPAが下がらない。「これ以上は無理だ、遷移先(LP)を触らないと期待以上のバリューが出せない」という限界を感じて、自ら踏み込みました。

LeanGo 平井:

オプトさんの社内浸透はどうでしたか?

オプト 曵地:

最初は相談窓口に来る人も数人でしたが、とにかく事例を作りました。

「CVRを改善すれば、広告アカウント全体がこれだけグロースするんだ」という成功事例をつくり、それを社内に展開しました。

電通さんのような社内行脚だけでなく、私たちは結構「プッシュ提案」もやりましたね。

オプト 大谷:

そうですね。社内チャットで営業担当に「この案件、LPOやったらもっと伸びるよ」「曵地に相談してみなよ」と声をかけたり、逆に提案できそうなお客さまがいるかこちらからアプローチしたり。

そうやって実績を積むうちに、「遷移先を触るならCRO戦略部に聞こう」という空気が社内に醸成され、今では全社員の半数近くが相談チャネルに入っている状態になりました。

オプト 曵地:

ただ、悩みもあります。社内の理解は進みましたが、市場全体で見ると「LPOに投資する」という判断ができるお客様はまだ少ないのが現状です。

ROI(投資対効果)で見ればLPOに投資した方が良いことは明確でも、組織の縦割りや予算の壁があって、なかなかその意思決定が進まない。そこは私たち支援会社が、もっと啓蒙していかなければならない部分だと感じています。


生成AI時代、LPはどう進化するのか?

LeanGo 平井:

生成AIの登場で、業務改善やクリエイティブ制作の形が変わってきています。LPO領域において、AIとの共存はどうなっていくと考えていますか?

オプト 曵地:

生成AIの台頭により、バナーや動画制作のプロセスは生成AIで完結できる部分がかなり増えてきました。しかし、「成果の出るLP」をAIだけでポンと生み出すのは、まだ大きな距離があるというのが私の率直な実感です。

量産や効率化はできますが、本当に成果が出るものをゼロから生み出すのは難しい。皆さんはどう感じていますか?

電通デジタル 薫森:

同感です。完璧なものをAI一発で作るのは難しいですね。

いくつかのパターン出しやアイデアの種をもらうにはAIが向いていますが、そこから「仕上げる」工程、そしてその先のブラッシュアップには、引き続き「人の力」が不可欠です。

AIと人間がうまく棲み分けていくことが重要だと思います。

オプト 大谷:

AIの真価は、制作の効率化以上に「インプットの深堀り」と「多角的な解釈」が鍵になると思っています。

膨大な数値データや、定性的にN=1(一人の顧客)の生の声をAIに読み込ませて、「この人にはどのような訴求が響くのか?」という解釈を委ねるのです。すると、自分たちだけでは辿り着けなかったような意外な切り口や、思考のヒントが返ってくることがあります。

自分の頭だけで考えるのではなく、AIに思考の幅を広げてもらい、最後は人間が責任を持って形にする。変化の激しい今の時代、このプロセスこそが「ユーザーに深く刺さる体験を届けるための、最も誠実な向き合い方」ではないでしょうか。

電通デジタル 福島:

LP全体を一発で作ろうとせず、効果に直結する「ファーストビュー」だけに絞って、AIで大量の切り口を出して総当たりで検証する、といった使い方は有効ですよね。

デザイナーと同じクオリティのものをAIに求めると難しいですが、役割を限定すればスケールさせることは可能です。

オプト 曵地:

まさに仰る通りですね。適切なプロンプトを入力すれば、一定水準のアウトプットは得られます。しかし、一定以上のパフォーマンスを目指す段階では、私たちのような専門家の知見を掛け合わせるのが、確実だと思います。

LeanGo 平井:

最後に、これからのLPやLPOの未来について、どうなると予想されていますか?

オプト 曵地:

私は、LPという概念そのものにパラダイムシフトが起きる予感がしています。

Web広告の黎明期から数十年、LPの基本形は、「縦に長いページ」という形態からほとんど変わっていません。

しかし今後は、AIのアバターとの対話を通じて商品を選んだり、ユーザーの状況に合わせてページが動的に変化したりする世界が来るかもしれません。

今の「LP」という価値観がアップデートされるタイミングが必ず来るはずなので、その中心にいたいと思ってますし、それに向けて面白い仕掛けを積極的につくっていきたいと思っています。

LeanGo 平井:

実は、私も全く同じことを考えていて近々、Dejamから「新しいLPのフォーマット」をリリースする予定なんです。

オプト 曵地:

それは気になりますね。

スワイプLPやアンケートLPといった『局所的なUIの見せ方の変化』ではなく、本質的なフォーマットの変化ということでしょうか?

LeanGo 平井:

はい、かなり本質的なものです。従来の「画像LP」という概念を疑うところから始めています。年内か来月には出したいと思っているので、楽しみにしていてください。

オプト 曵地:

めちゃくちゃ楽しみです!

そうやって新しいスタンダードを一緒につくっていけるのは嬉しいですね。


アフタートーク ~これからの代理店のあり方~

LeanGo 平井:

最後に、お互いに聞いてみたいことや言い残したことはありますか?

オプト 曵地:

最後にお伝えしたいのは、LPやLPOの価値をもっと市場に浸透させるために、どうしていくべきか悩み続けていることです。

いくら「効果が出る」と言っても、お客さまからはセールストークに聞こえてしまう。

「生成AIで代替できるんでしょ?」と思われがちですが、現段階ではまだそこまで至っていません。この認識のギャップを埋め、LPOの重要性を正しく伝えていくための啓蒙活動に、今後より一層力を入れていきたいと考えています。

電通デジタル 薫森:

そうですね。結局、ツールを入れて終わりではなく、それを使いこなしてどう事業を伸ばすかを描くのは「人」です。

「生成AIがあればLPOはいらない」ではなく、「生成AIを使いこなすプロがいれば、もっと事業が伸びる」というメッセージを伝えていく必要があります。

オプト 曵地:

今日、電通デジタルさんとお話しして、同じ熱量と課題感を持っていることが分かりすごく心強く感じました。

市場を変えていくために、ぜひ一緒に盛り上げていきましょう!

電通デジタル 薫森:

ぜひ! 今日は本当に良い時間でした。ありがとうございました。

一同:

ありがとうございました!


参加者プロフィール

■ 株式会社電通デジタル

福島 氏・薫森 氏(アドバンストクリエイティブセンター)

広告クリエイティブの制作から、LP制作・解析、UI/UX改善を一気通貫で担うチームに所属。AIを活用したLPの分析・制作支援を行う「∞AI LP」を活用しながらクライアント企業のLP制作から効果向上やPDCAに取り組む。

■ 株式会社オプト

曵地 氏・大谷 氏(クリエイティブ本部 CRO戦略部)

LPやサイト改善、CVR(コンバージョン率)改善に特化したコンサルティングを提供し、エンドユーザーとのコミュニケーションの質をより良くするための施策の立案から実行を支援。人とAIで効果改善に最短でたどり着ける運用型LPOの自動最適化を実現するサービス「shioume AI」をLeanGo社と共同で開発し、CVR改善活動の高速化と品質向上を実現している。

■ 株式会社LeanGo

平井 氏(代表取締役・モデレーター)・岡坂 氏(執行役員)

CVR改善ツール「Dejam」のプロダクトオーナー

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会社名 : 株式会社電通デジタル

代表取締役社長:瀧本 恒

事業内容 : クリエイティビティとテクノロジーを活用した、デジタルマーケティングやDXによる企業の「成長と変革」を支援

HP :https://www.dentsudigital.co.jp/

会社名 :株式会社オプト

代表取締役社長:金澤 大輔

事業内容 : マーケティング事業

HP :https://www.opt.ne.jp/